総務経済常任委員会報告
木の産業づくりについて調査
三重県の合板製造会社などを視察
◯所管事務調査日
令和7年1月27日~28日
◯出席委員
委員長 / 松井 淳一
副委員長 / 大目富美雄
委員 / 原田 徹哉
委員 / 千村 孝男
調査の目的
町有林を含む民有林のカラマツが樹齢60年を超え主伐を迎えていることから、町では昨年度から木の産業づくりに特に力を入れている。今までに木質バイオマス燃料供給拠点施設や木工振興拠点施設などを整備してきた。また、新開橋詰には原木土場を整備。
さらに今年度は旧上田小学校の空き校舎を民間企業に無償譲渡し、合板製造・内装材加工の工場として利活用することになっている。
昨年10月には勝野木材グループ(南木曽町)と木の産業づくりに関する協定を結んだ。
このように森林資源の活用が進められている中、先進的な取り組みを行っている株式会社日新三重工場や国立研究開発法人森林研究・整備機構森林整備センター 津水源林整備事務所、勝野木材などを視察した。ここでは日新について報告する。
視察先の概要
日新三重工場は、木造住宅の建築に欠かせない合板の製造を行っており国内市場シェアは約30%。本社は鳥取県境港市にあり中国、四国エリアと三重県に合わせて6工場が稼働し、高品質かつ多種多様な合板の企画・製造・販売を行っている。原木は国内各地からスギやヒノキなどを、海外から米マツ、米ツガなどを調達している。
工場では最初に前処理を行った原木を切削機により大根の桂剥きのように厚さ数ミリの薄い板にする。次に板を乾燥させ接着剤を塗り、板の木目方向に1枚ごとに直交させて重ね合わせたものをプレスで圧縮しくっつける。最後に表面を磨き所定の寸法に裁断し検査を行う、というのが一連の流れ。
同工場は従業員が60名程度で月6000㎥の合板を製造。2交代制であるため従業員の確保には苦労されているというが平均年齢は38.1歳と若い会社だ。
原木を桂剥きのようにして薄い板にする
日新三重工場を視察する議員ら
まとめ
日新が三重に進出した背景には原木調達に伴う輸送コストの低減や都市部への製品輸送コストの削減などがある。トラックの燃料費や運転手などの人件費が増大している中で原木及び製品の輸送コストは重要な観点だ。
町にある木曽谷Kousakuでは、木曽官材市売組合から日新へ送られた原木を合板にしてもらい、それらを使って家具や内装材を作っている。今後、地元に合板工場が完成すれば原木や製品の輸送コストの削減に大きく貢献するものと思われる。
さらに木材の付加価値を高めるため集成材の製造は有効で、林業におけるサプライチェーンを完成させるプロセスの中に集成材製造があれば良いと感じた。
また、日新では植林をはじめ工場で出る皮や端材などはボイラーの熱源に使用するなど環境にも十分配慮した取り組みを実践されている点なども大いに参考になった。