寄稿
政治への関心を自分事へ

前 木曽町立木曽町中学校/現 塩尻市立広陵中学校 教諭 近藤裕吾

 中学校第3学年の社会科(公民的分野)において、政治学習は中核をなす領域です。しかし、本来身近であるはずの地方政治も、生徒にとっては「遠い存在」となりがちです。そこで地方政治を自分事として捉えさせることを目的に、木曽町議会議員選挙に合わせた体験型学習を導入しました。
 まず、行った立候補者へのアンケート調査では、「立候補の動機」や「地域の課題」など、生徒自らが考案した6つの質問を通じ、中学生の視点から政治の核心に触れようとしました。得られた回答をもとに、「アンケートの名前を伏せた政策本位の模擬投票」と「公報等の公開情報を加味した模擬投票」の二段階を経て、実際の投開票結果と比較分析する事後学習を行いました。
 本実践による意識の変化は顕著でした。事前調査では木曽町の政治に「関心がない」とした生徒が約85%に達していましたが、事後には約95%が「関心がある」へと転じました。生徒の振り返りからは「父と議会について対話するようになった」「自分たちも無関係ではいられない」「早く選挙権がほしい」といった記述がみられました。
 これらの生徒の意識の変化は、リアルタイムの選挙と連動させた点にあると考えています。生徒自らが問いを立て、候補者の生の声に触れるプロセスを通じて、知的好奇心が刺激され、未来の有権者としての当事者意識が醸成されたと言えます。日頃から主体的な姿勢を持つ生徒たちに対し、外部機関と連携した学習を提供できた意義も大きいです。
 本実践の実施にあたり、多大なるご協力をいただいた木曽町議会事務局、および真摯にご回答を寄せてくださった立候補者・議員の皆様に、この場を借りて深く感謝申し上げます。

意見を交わし、地域の政治について考える生徒