環境清美工場の老朽化対策
新クリーンセンター建設問題を検討する
特別委員会を設置

 奈良市は、左京地区にある現ごみ焼却施設「環境清美工場」の移転に向け、平成17年に近隣住民との間で締結した公害調停に基づき、これまで70回以上の「奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(以下「策定委員会」)」を開催し、議論を続けてきました。しかし、未だ候補地は決定していません。環境清美工場は老朽化が進み、建屋の状態や設備の耐用年数を考慮すると、今後10年程度の稼働が限界とされています。新クリーンセンターの建設は奈良市の最重要課題となっています。
 令和7年6月、策定委員会から七条町、北之庄町、大和田町の3地区が建設地に適しているとの答申が示されました。市は、この3候補地の比較検討を進めるため、9月定例会で地質調査などの調査費用8600万円の予算案を提案しました。しかしながら、七条町地区については、これまでの経緯もあり、候補地の選定過程や公害調停の法的効力、コストについて再検証が必要として、住民から、計画を白紙に戻し、見直しを求める請願が提出されました。この中で、現在の建設事業費が他市の事例に比べ高額であることも指摘されており、議会には慎重な審議と候補地のコスト検証が求められています。
 新クリーンセンター建設事業について、市は、8年4月から新たに専属組織を設立して集中対応できる体制を整えることになりました。一方、議会では、12名の委員で構成される「ごみ焼却施設等検討特別委員会(以下「特別委員会」)」を設置し、国庫補助金の活用や施設の分散設置、候補地や総コストの多角的調査・検討を進めることになりました。委員会では、早期建設に向け審査を進めることとしており、今後は市と議会が協力して前向きな議論を進めていくことが期待されています。
 なお、候補地決定後は詳細な測量や地質調査、環境影響評価、都市計画決定を行う必要があり、都市計画決定から用地取得や事業者選定まで約1年、その後の造成・建設に約4年を要する見込みであり、全体で約10年の事業期間が想定されています。

3候補地の位置図

七条町地区での
建設に係る請願

 令和7年9月、地元住民から、新クリーンセンター建設計画を白紙に戻し、見直しを求める請願が提出されました。①七条地区選定過程の検証、②公害調停及び策定委員会での決定事項の法的効力の検証、③現計画の建設維持コストの検証、④現公害調停そのものの再検証が主な内容です。
 七条町は広域化を前提に大和郡山市の清掃センターとの一体化を想定して候補地に選ばれており、2つの工場を並べることはないと説明されてきたにもかかわらず、広域化が破綻した後も奈良市が七条町での建設を推進していることが請願の中で批判されています。議会においてもこの進め方を問題視する意見があり、請願は特別委員会で審査が継続されることになりました。

新クリーンセンター
候補地の調査費

 9月定例会では、3候補地の施設配置や造成計画、アクセス道路のルート検討や地質調査を進め、その比較検討用資料を作成するための8600万円の補正予算案が市から提案されました。議会はこれを特別委員会に付託し、請願と併せて継続審査することになりました。

七条町地区を巡る
これまでの経緯

令和元年12月 広域化を前提に七条町を最終候補地とすることを表明
令和5年2月 奈良市単独でも七条町で建設することを表明
令和6年3月 議会での審議中にもかかわらず、七条町での建設を前提とした基本計画案を公表し、パブリックコメントを実施
以降、候補地選定のプロセスに対し議会で指摘が相次ぐ
令和6年6月 七条町地区での建設に反対する請願4件を議会が採択
令和6年10月 市が策定委員会に候補地の選定方法について再度諮問
令和7年6月 策定委員会での市全域を対象とした総合評価の結果、七条町・北之庄町・大和田町の3地区を適地とする答申が出される
令和7年9月 七条町地区の地元住民が計画を白紙に戻し見直しを求める請願を提出
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